外国で商標権取得を希望される場合には、各国代理人に依頼して商標登録出願を行う方法があります。
しかし、複数国に出願する場合には、費用が高くなり、管理も複雑になってきます。
そこで、このような場合には、「マドリッド協定議定書」という国際条約に基づく商標出願をご利用ください。
1の国際出願をして国際登録を得ることにより、複数国に権利を取得することができますので、
費用削減および管理容易化を達成することができます。
マドリッド協定議定書の概要をご説明致します
1.概要
マドリッド協定議定書締約国の特許庁に商標出願又は商標登録を有する者は、
その出願又は登録を基礎にして、保護を求める締約国を指定して、国際登録を受けることにより、
その指定国において商標の保護を受けることができます。
よって、例えば、日本に商標出願または商標登録があれば、その内容の範囲内で、
マドリッド協定議定書に基づく国際出願を行うことができます。
2.保護の内容
国際登録商標は、指定国において、次の保護を受けることができます。
(1)国際登録日から、指定国の官庁に直接出願されていた場合と同一の効果。
(2)指定国の官庁が、拒絶の通報期間(12か月又は18か月)に拒絶する旨の通報をしない場合には
同期間の経過時、又は後に拒絶する旨の通報を撤回した場合はその撤回時に、
国際登録日から、その商標がその指定国の官庁に登録されていた場合と同一の効果。
(3)国際登録の存続期間は、国際登録日から10年(その後更新可能)。
3.手続
(1)国際出願
国際出願をする場合には、本国官庁を通じて、国際事務局(WIPO)に願書を提出します。
日本出願又は日本登録に基づく場合には、日本国特許庁に提出します。
(2)国際登録
国際事務局(WIPO)は、国際出願の方式審査をした後、国際登録簿に商標を国際登録します。
(3)指定国官庁への通報
国際事務局は、国際登録後、その旨を各指定国官庁に対して通報します。
(4)拒絶
指定国官庁は、その指定国において国際登録に係る商標の保護を拒絶する場合には、
上記(3)の通報の日から12か月又は18か月以内にその旨を国際事務局へ通報します。
(5)セントラルアタック
国際登録日から5年が満了する前に、基礎出願が拒絶又は基礎登録が無効若しくは取り消し
などになった場合には、国際登録も取り消されます。これがマドリッド協定議定書のデメリットです。
その際、国際登録の名義人であった者は、各指定国において国内出願へ変更することができます。
(6)更新
国際登録の存続期間は国際登録日から10年です。存続期間は更新することができます。
指定国ごとに更新申請をする必要はなく、国際事務局に一つの更新手続を行えば更新されます。
(7)料金
一の通貨(スイスフラン)による料金支払いだけで、国際出願及び国際登録を更新することができます。
4.メリット
(1)一の手続で複数国に権利取得
一の願書を日本国特許庁に提出するだけで出願することができます。
(2)管理が容易
複数の商標権の存続期間の更新が、国際事務局に対する一回の手続で可能となるため、個別の権利についての期限管理が不要となります。
(3)コスト安
外国代理人に出願依頼する必要がないため、出願にかかる費用がお安くなります(各国で拒絶理由が出た場合には、各国代理人に中間手続を依頼することになります)。
【参考】
マドリッド協定議定書加盟国
個別案件に対するプロフェッショナルのアドバイスは、弁理士までお気軽にお問い合わせください。