【対象】
意匠とは、物品の外観デザインです。物品の形状、模様、色彩およびこれらの組み合わせです。
家電製品のデザイン、自動車のデザインなど、いわゆる工業デザイン(Industrial design)と呼ばれるものが該当します。
物品の操作の用に供される画面デザイン(DVD等の初期操作画面)も該当します。
外観デザイン全体のほか、その一部のみについて権利を要求することも可能です(部分意匠)。
これにより、部分的に保護を望むデザインがある場合にも対応可能です。
互いに類似する意匠をバリエーションの意匠として出願することも可能です(関連意匠)。これにより、デザイン開発の際に同時に創作される多様なバリエーションをもれなく保護できるだけでなく、意匠の類似範囲を明確にするとともに権利範囲の拡張をすることができます。
普通の意匠出願のほか、上記した関連意匠や部分意匠を活用した出願を行うことにより、新しく創作したデザインを戦略的に保護することができます。
【出願書類】
1. 願書
2. 図面
意匠出願の際には、願書で物品を特定します。また、図面(6面図等)で形態(デザイン)を特定する必要があります。
図面は、線図のほか、写真、コンピュータグラフィックス、ひな形、見本により出願することも可能です。
どの表現形式を用いて出願するかは、事案により、物品により異なります。
意匠図面は設計図とは異なります。設計図による出願では意匠が具体的になりすぎて権利範囲が狭く解釈されることがあり得ますので、注意が必要です。
また、意匠図面に特有の決まりもあります。創作された意匠を適切に保護できるように意匠図面を作成することが重要です。
【登録要件】
意匠の登録要件で主なものは、次の通りです。
1. 新規性
出願前に、日本国内または外国において、同一又は類似の意匠が存在していないこと
2. 創作非容易性
当業者が、出願前に公然知られた形態に基づいて、容易に創作できるものではないこと
3. 一意匠一出願
一つの出願には一つの意匠しか含めることができません。複数の意匠が一つの出願に含まれている場合には、拒絶されます。
4. 先後願
同一又は類似の意匠が先に出願されていないこと
新規性の要件を満たすために、出願は製品発表やカタログ発行前に行わなければなりません。先後願の要件による拒絶を避けるために、出願はなるべく早く行わなければなりません。
【効力】
意匠権が発生しますと、登録意匠と同一又は類似の意匠の使用を独占することができます。意匠は物品の外観であり具体的なものであるため、同一範囲のみしか保護しないとなると、意匠権の範囲は非常に狭いものになり、意匠保護の実効を図ることができません。そこで、意匠権では、同一範囲の他にも類似範囲まで保護することを認めています。
【存続期間】
意匠権の存続期間は、登録から20年間です。
個別案件に対するプロフェッショナルのアドバイスは、弁理士までお気軽にお問い合わせください。